
2004.07.01 Contax3
聞く人によって感想が大きく異なる縄文杉。物事は期待しすぎないほうがいいということだろう。
屋久島縄文杉。聞くところによれば、縄文杉を一目見るために12時間の往復を強いられ、それにも関らず数珠つなぎで山を登ってくる人が絶えないという。
屋久島の人気が絶頂期だったこともあり、そんな山歩きだけは絶対避けたかった。
飲み仲間3名が酔った勢いで突発的に屋久島に行くことになった。僕にとっては再訪だったが、縄文杉には行っていかった。唯一の屋久島経験者の僕は、「縄文杉ばかりが屋久島ではない!」と断言し、「それ以上のいいものが溢れている島なのだからわざわざ一日かけてまで行く価値はない」と行って見てもいないのにそうのたまっていたのだった。
しかし屋久島が初めての2人は縄文杉ばかりがメディアで騒がれ有名になっていたため、絶対行きたいという。
そこで、登山ド素人の2人を連れ花之江河という美しい湿地を抜ける島の南側、淀川口から登り、宮之浦岳を越え白谷雲水峡まで縦走することにした。
この縄文杉に近い新高塚小屋という場所でこれまた山小屋、寝袋初体験の2人と1泊、翌朝まだ静かなうちに、ここ縄文杉へと達した。
一日以上かけてここまで来たからかもしれない。
または、まだ訪れる人もまばらで、静かだったからかもしれない。森の中にどっしりとそびえたつ森のじーさまは、これまでの樹木という範疇を超えた姿形をしていた。
しかしこれがそこらの公園に立っているものだとしたら、これほどまでに有難く祭り上げられる存在とはなりえなかっただろう。頑張ってこそたどり着ける、目標地点としてもふさわしい距離感を持つ山の中にあって、みなゴールとしてここへと訪れるから、2倍増しに感動してしまうのだと思う。
ここからは白谷雲水峡方面へと、ただただ下るのみとなった。
時間がたつにつれて次々に縄文杉へと上がってくる元気のいいおばちゃん達。
うん、やはり縄文杉は静かな中でじっくり眺めるのがいい。
現地のツアーでもこっそり縄文杉の回りにテントを張ったりしているらしい。これはガイドのサービス次第か。
もうかれこれ縄文杉の写真(これではないけど)をデスクトップの背景にしているけど、未だに新しく違うものに変えるということができずにいる。
それ以上のものにまだ出会っていないのかもしれない。